九州特産のハナカズラと、西日本に分布するタンナトリカブト。宮崎県では両種とも観察できる。そうなると気になるのは見分け方。花の形など、かなり似ているので、識別には注意が必要だ。
写真がある程度そろったので、そんな二種の違いを比較をしてみたいと思う。
頭花の色、形
頭花の外から見える部分は萼片からなり、中を開けてみるようなことをしない限り、形での区別は難しいかもしれない。どちらも青いが、やや色味が違う。
ハナカズラの頭花
ハナカズラの頭花は、色が全体に均一である。また色は青~紺青色といったところで、タンナトリカブトよりも色が濃い。
タンナトリカブトの頭花
花のつくりはハナカズラと同じ。色はハナカズラよりも薄く、紫味が強い。また、色が均一でなく、特に側萼片は色落ちしたように白っぽい。
側萼片の縁や内側の直毛がハナカズラより目立つようにも思えるが、識別点としては弱い。
雄しべ雌しべは、基本的に両種とも無毛。
茎のようす
ハナカズラとタンナトリカブトで最も顕著に違いが現れるのが茎の性状だろう。
ハナカズラの茎
ハナカズラはつる性(もしくは半つる性)植物。そのため茎はほかの植物などに巻き付くか、そうでなくてもかなり細い。
タンナトリカブトの茎
茎の太さは直径5mm以上あり、ハナカズラよりも明らかに太い。写真の株は強風の後であったためスズタケに倒れ掛かっているが、通常は自重を支えて立っている。
(ただし、半つる性のハナカズラは、小さいうちには自立していることがあるので注意。)
葉の形
葉の形は、どちらも三全裂しているヨモギのような見た目で、そっくりではあるが、見比べるとハナカズラの方が華奢(きゃしゃ)に見える。
ハナカズラの葉
ハナカズラの葉は三全裂し、さらに細かい切れ込みが深く入る。そのため、細く枝を伸ばしたような形になり、大きさに対して葉の面積は小さい(すきまが多い)印象。
タンナトリカブトの葉
タンナトリカブトの葉も三全裂するが、切れ込みはハナカズラほど深くない。そのため幅が広く、大きさに対して葉の面積が大きいというか、無駄がない印象。
(おまけ)これは何だろ?
ハナカズラの群落の中にあって、上の写真の株だけどうもタンナトリカブトのように思えてならない。
一株だけ寂しく混じるなんてことが本当にあるのかは、わからない。が、茎の太さといい、葉の形といい、まわりのハナカズラとはどうも相容れない感じ。
花が咲くのを待って解剖すればわかるかもしれないけど、毒草だしあんまりしたくないなあ(´・ω・)
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