(´・ω・) ぼくの鼻はよくないらしい……

ミヤマツチトリモチ(キュウシュウツチトリモチ)/赤いキノコのような夏の植物

ミヤマツチトリモチ(キュウシュウツチトリモチ)/赤いキノコのような夏の植物

八月半ば、祖父といっしょに毎年通っている宮崎の県北の山へ行ったら、赤いキノコのような見た目の謎の物体が生えていた。実はキノコではなくれっきとした植物。しかも絶滅危惧ⅠA類。

ミヤマツチトリモチ

深山土鳥黐
学名 Balanophora nipponica
ツチトリモチ科ツチトリモチ属の多年性寄生植物(ただし、APG分類体系では分類未確定とされている)
県:絶滅危惧ⅠA類 / 国:絶滅危惧Ⅱ類

高地の落葉樹林内で見られる。花期は(7~9月)で、類似種のツチトリモチ(10~12月)と区別できる。
九州産のミヤマツチトリモチを「キュウシュウツチトリモチ」とする説もあるが、現段階ではまだ別名扱いで、別個の種としての市民権は得られていないようだ。

ミヤマツチトリモチの全草

苔の中に、写真のようにひょっこりと顔を出していた。
こうして見ると独特な容姿で見落としそうもないのだけれど、案外落ち葉の色と同化して気づきにくい。
実際、この株も行きがけにはすっかり見落としていて、帰り路に疲れて下を向いて歩いていたおかげで気が付いたもの。

宮崎県版のRDB(レッドデータブック)には
「シカによる食害で減少。鹿よけネット内で生育している」
といったことが書かれていたのだけれど、この株はなんと鹿よけネット外でしぶとく生きていた逞しい子たち。
何としても生き残ってほしいものだ。

ミヤマツチトリモチの花

この丸い卵型の部分が、ミヤマツチトリモチの花序。花序自体は親指第一関節より先ほどの大きさ。
肉々しい(憎々しいではない)その見た目から、図鑑では「肉穂花序」の名を頂戴している。

 

もう少し近づいて見てみる。コンマ状の粒粒が集まって花序をなしている。
この粒粒たちはすべて雌花で、雄花はない。もっというと、雄花や雄株は確認されていない、単為結実を行う不思議な花だ。

 

ちなみに、どんな触り心地かとても気になったので、つまんでみました。
肉穂花序というほどだから、ムニムニと弾力があるのをイメージ。
しかし、全然柔らかくないし弾力もない。押しても決してつぶれそうにないくらい硬い質感。意外だった。

ミヤマツチトリモチの根

ちょうどいい具合に苔がめくれて根が見える株があったので、撮影。
希少種なのでそうやすやすと引っこ抜くわけにはいきませんから。

ツチトリモチの仲間の根は塊根と呼ばれている。根、と言っているが、実際は地下茎。
この塊根の部分を叩き潰して、鳥モチを作っていたことから、土から採れるトリモチ、略してツチトリモチという和名になったそうな。
ショウガのようにモリモリしている。
鳥肌のような淡色の粒粒は、キイレツチトリモチには無い特徴。ツチトリモチにはみられる。

掘っていないので確認はできなかったけれど、ミヤマツチトリモチは主にカエデやシデなどの根に寄生するらしい。
他、ツチトリモチはハイノキ属、キイレツチトリモチはシャリンバイ属やネズミモチの根、というような住みわけがあると図鑑に書いてあった。

おまけ~花序を割ってみた~

花序は時期が過ぎるとぽろっと落っこちてしまうようで、あたりにはいくつか生首みたいな花序が転がっていた。
花序の中、というか断面がどうなっているのかとても気になったので、これを割ってみようと思う。
しかし、ゴリゴリに硬いので、結構苦労した。

 

結果はこの通り。爪を立てて頑張ったら、なんとか割れた。
花の部分は表層だけで、髄質の部分はかなり肉っぽい、濃い赤色をしていた。

なんだか食べられそう、シカの食害にあっているくらいだから、おいしいのだろうか? と思いつつ、食べてみるのはよしときました。

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