ピンク色のヒメツルソバの花 ~ツルソバと本気で比較してみた~

植物

前回はツルソバを取り上げたので、今回はヒメツルソバに注目。「ヒメ」と名の付く動植物はかなり多い。小さいことやかわいらしい様子を表しているようだ。

ツルソバよりもかわいらしいから「ヒメツルソバ」ということなのだろうけれど、そうもあけすけに言っちゃあツルソバが可哀そうな気もする。だいたいわざわざ取り立てて比べるほど似た者同士でもないと思う。

と言っておきながら、わざわざ取り立てて比べてみよう、というお話です。

ツルソバの記事はコチラ → 冬の植え込みで旺盛なツルソバの白い花

スポンサーリンク

ヒメツルソバ

姫蔓蕎麦
学名 Persicaria capitata
タデ科イヌタデ属のつる性多年草
ヒマラヤ地方原産の帰化植物で、花期は周年。道ばたなどに這うように生える。

ヒメツルソバの全草

よくアスファルトの隙間から生えているのを見る。ワシャワシャっと高密度で絡まりあって地面や壁を這うように広がる。暗めの緑色の葉と赤い茎のおかげで、花が無くても目につきやすい。

 

今回は近所の路上が撮影現場。このような大群落を形成しているのを見ると、帰化植物の逞しさにうならされる。お姫様らしからぬお行儀である。
一面に広がってピンク色の花を咲かせるからイメージからか、この花の名前を知らない人たちが「シバザクラだ」というのを聞くことがある。確かにそんな雰囲気かもしれない。

 

ツルソバの生え方は、ヒメツルソバよりもつつましやかな印象。ちなみにツルソバは帰化植物ではなく、日本在来の種類。

ヒメツルソバの花

小さな花が集まって、直径1㎝ほどのくす玉のような花序になる。ピンク色のものや白いものがある。上の写真の花はどちらもまだ花が咲いていないつぼみの状態で、開花時期が最もピンク味が強い。

 

こちらが開花したもの。ひとつひとつの花が開いているのがお分かりだろうか? 未開花のときよりも、花弁の先が引き立って、ふわっとした花序に見える。

 

花のどアップ。花ひとつひとつの大きさや開花時期がそろっているので、まとまりがあってツルソバよりもきれいに見える。

 

ツルソバの花は白く、同じ花序の中でも大きさ、開花時期がばらばらで、その点はヒメツルソバの方がきれいに感じられる。

 

 

ひとつの花の大きさを比べてみた。左がツルソバ、右がヒメツルソバ。姫の名の通り、ヒメツルソバの方がツルソバよりも一回り小さい。

ヒメツルソバの茎、葉

赤色になる茎と、赤みを帯びつつも濃い緑色となる葉の対比がきれいで、さすがは元園芸種である。(ぼくは昔からこの花を見ると年中問わずクリスマスを思い出す)

卵形の葉には黒い斑がV字状に入る。存在感は薄いが、葉鞘も托葉もある。ツルソバは心形の葉で、また葉鞘はあるが托葉は見られない。

 

葉が互生するのはヒメツルソバもツルソバも同じ。

個人的に大きな違い(わざわざ強調しなくても、この2種の識別を見紛うことはないだろうけど)だと思うポイントが、毛の有無である。ツルソバはほぼ無毛なのに対して、このヒメツルソバは全体的に毛に覆われている。時間を経て茎が木質化してくると、摩耗なのかしら、毛は減ってくるが、それまでは茎も葉も暖かそうな毛皮にくるまれた姫様である。

ツルソバの葉の写真。毛がないため、葉には光沢があるが、ヒメツルソバの葉はこのような艶はない。

余談~ヒメツルソバは姫か?~

ヒメツルソバは姫か? ツルソバに比べて小さくかわいいか?

上の問いに対しては、概ね「はい、そう思います」と答えられる。生え方と広がり方のおてんば姿には目をつぶるとして、特に花序と花に注目すれば、その小ささ、色、きめの細かさは姫の名に恥じぬ風貌かと思う。

(; ・`д・´) だがしかし!

そんなことよりも先に立つ問題として、なぜこの2種に同じ「ツルソバ」の名をつけたのか。本気で比べてはみたものの、やっぱり全然似ていないではないか。最初にこのふたつの花に共通項を見出した人にご臨席賜りたい。話はそこからである。

コメント

  1. ヒメツルソバ より:

    ヒメツルソバの花が白とピンクがあること
    そして
    葉の色がブルーグリーンもあること

タイトルとURLをコピーしました